信州の名工受賞 本多 明広

大きなやりがいを感じるからこそ、日々の仕事を大切に積み重ねられた

2015年信州の名工受賞 本多 明広

ほんだ・あきひろ/1982年オリンパス(株)(現(株)エビデント長野)入社。
以後、対物レンズの組立てに携わる。
思い出深い仕事は、フィリピン・セブ島での技能指導。「現在は中国に移りましたが、低価格帯対物レンズ初の海外生産という事で
言葉や文化を超えた貴重な経験をすることができました。」
2015年、光学機器組立加工として「信州の名工」を受賞。
趣味は音楽を聴くこと。「特に80年代の邦楽が好きです。」

本多 明広

やりがいを感じて

私の仕事は、エビデントが世界に誇る最高品質の対物レンズを作り上げることです。入社から30年以上、この対物レンズ一筋で「光学調整」の技能を磨いてきました。
対物レンズの中には、何枚ものレンズが組み込まれています。ただ組み込んだだけでは、それぞれのレンズに極僅かなズレが発生するため、そのままでは本来求められている性能を発揮する事はできません。
そこで性能を最大限に引き出すために、「光学調整」を行います。レンズとレンズの間隔を変えたり、レンズを回転したり、レンズを叩いて光軸を揃えたりして、ベストな状態に仕上げていきます。この作業次第で、見え方が全く変わってくるんですよ。
対物レンズは「顕微鏡の心臓部」と言われ、顕微鏡にとって最も大切な“見え性能”を左右する非常に重要なものです。だからこそ、お客様が求める高い性能を確保するために、私たちの手でひとつずつ作り込む必要があるのです。

この仕事は、ごくわずかな見えの差を自分の目で見て判断し、性能を追求していく作業です。大変なところはいくつかありますが、その中でも、目を酷使するところは大変ですね。微細なものを集中して根気よく見続けなくてはいけないので、とても眼が疲れてしまいます。それでも、くじけずにこの作業をここまで長く続けてこられたのは、やはりこの仕事に大きなやりがいを感じているからだと思います。
調整作業を行うことで、見えが良くなり性能が引き出されていくこと自体にもやりがいを感じます。でもその他に仕事の中でそれを感じることができるのは、ひとつは私が担当している修理業務のときです。私の手元には、修理を必要とする対物レンズが、研究機関や病院等、世界中の様々なところから届きます。「これは病理検査に使われていたんだな」とか、「こっちは海外で活躍していたんだな」と確認しながら作業していると、直接ユーザーと接することがなくても、私たちの仕事が世界中の様々な場所で使われ、人々の役に立っていることを実感することができます。
また、新製品展開のときにも、大きな達成感とやりがいを感じます。開発や技術のメンバーと一緒になって懸命に作り上げた試作品について、「最先端の研究をしている先生に、すごく良い評価をしていただいた」なんて聞いた時には、「頑張った甲斐があった!」と思います。ユーザーの最新ニーズに応える製品に携わり、それを作り上げられることは、喜びであり、とても誇りに思っています。
さらに、私は顕微鏡の各ユニットを組み立てるときに基準として使用する「基準対物レンズ」の組立調整も行っています。基準を作っているという大きなプレッシャーを感じますが、同時にやりがいも感じています。

「信州の名工」の受賞

今回、「信州の名工」を受賞することができたのは、日々の仕事を大切に積み重ねるとともに、指導をしていただいた先輩方をはじめ、多くの方々に支えていただいたおかげだと感謝しています。この受賞の喜びを糧に、今後もさらに技能を高め、後進の指導に引き続き取り組んでいきます。 最後に若手の皆さん!モノづくりにおける技能の大切さは、今後も変わることはありません。作業をする時に「なぜこれをやるんだろう?」と常に考え、わからないことがあれば、どんどん質問してください。理解を深めながら、技能を磨いていきましょう。

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