信州の名工受賞 平澤 和彦

お客様に役立つ製品を届けたい

2017年信州の名工受賞 平澤 和彦

ひらさわ・かずひこ/1985年 オリンパス(株)(現(株)エビデント長野)入社。
配属後、光学計測器をメインに顕微鏡の組立てに携わる。
現在は技能道場で、人材育成に携わっている。2017年「信州の名工」受賞。

平澤 和彦

工業用レーザー顕微鏡の黎明期を経験しました

入社して伊那工場の組立て職場に配属になり、最初に担当したのは血液分析装置でした。その後、事業が三島に移管されたのをきっかけに、光学顕微鏡を担当するようになりました。液晶検査装置や共焦点レーザー顕微鏡など色々な製品を組立てましたが、中でも工業用レーザー顕微鏡OLSシリーズは、1996年に前任者からOLS1000を引き継いでから、2013年にOLS4100を最後に現場から離れるまで、20年近く携わりました。
初めてOLSを任された時は、「工業顕微鏡の新しいジャンル」とワクワクしました。でも実際に始まってみたら、これが思っていた以上に大変でした。と言うのも、OLSの中には、光学顕微鏡と異なるレーザーや画像処理の技術、電気関係の配線など、知らないことがたくさん詰まっていたからです。中身を詳しく知らないと、トラブルがあった時に、適切な修正をすることはできません。当時は勉強する材料がほとんどなかったので、わからないことはどんどん開発や技術の皆さんに聞きながら、学んでいきました。
最初の頃は出荷台数が少なく、ほぼ手作りに近い状態でした。現行製品のように、ライン化して複数人で組立てるのではなく、発注されたらすぐに部品を揃え、私ひとりで最初から最後まで、作り込んでいました。複雑な機構や機能を完成させるのに数日かかることもありました。どんなに集中しても、2、3週間に1台完成させるのがやっとでした。組立て中に発生する不具合も多かったんですよ。組立て方法が十分に確立できていなかったのと、設計的・技術的な完成度も未熟な部分があって、画像が出ない、ノイズが出る、途中で暗くなる、なんてことがありました。長い時間をかけてやっと組み上げた製品が出荷直前でやり直しとなるのだから、もう大変でした。お客様と約東した納期には絶対に間に合わせないといけないので、開発や品質保証部の関係者が「どうしたどうした!」と集まってきてね。「とにかく直そう!」とみんなで知恵を出し合って、全力で対応しました。毎晩夜遅くまで必死になって解決していたこともありましたね。

製品の組立てを通じて、自身も成長しました

今振り返ると、私の技能の一番のべースとなっているのは、この頃の経験です。OLSシリーズが始まったばかりということで、大変な思いをすることがとても多かったですが、その分、目の前の問題を改善しようと自分を奮い立たせ、品質の確保や効率化、生産性を上げることに取組むことができました。それが今回の「信州の名工」の受賞に繋がったのかな、と思っています。
現在は組立ての現場を離れ、技能道場で人材育成に力を入れています。ただ、修理という形ではありますが、今でもOLSに携わっています。製品を見ると、自分で組み立てたものかどうかわかります。自分が一番長くOLSの組立てをしているので、古い製品は高い確率で私の作ったものです(笑)。自分にしかわからないクセがあるんですよ。
お客様のところで使い込まれた製品が自分の元へ戻ってくると、「よくここまで動いてくれたな」と感謝の気持ちでいっぱいになります。やはり長年OLSに携わってきたので、現場を離れても、こうしてOLSに関わり続けることは嬉しいです。
OLSは時代と共に成長してきた製品なので、これからもどんどんお客様の役に立ってほしいです。

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